シャンパン&小遣い1万円男|ヤスさん

「しんこさん、ご指名です」

 

待機席で携帯をいじっていたわたしに黒服が伝えに来た。

 

(誰だろ?…)

 

「はい、今行きます」

 

わたしはサッと鏡で身なりを整え、ドレスの裾をもって客席に向かった。

 

 

 

(!!!)(…ヤスさん?!)

 

遠くからもわかる、マスクのフォルム…LINE連投男のヤスさんがこちらを見て微笑んでいる(ように見える)

 

「お疲れ~」「昼職忙しかったの?」「連絡来なかったから心配で来ちゃったよ」

 

矢継ぎ早にそういうと、自分のとなりの席をポンポンと叩き、座れと促してきた。

 

(うっ…ムリだわ、生理的にダメだ)

 

昨日の自分勝手な連投LINEの内容と、マスク越しにモソモソ話して目を皿のようにして人を見る外見がわたしの脳に拒否反応を起こさせる…

 

「い、いらっしゃいませ~♡」「うん、ちょっと今日はバタバタしていて…」「どうしたの?」

 

するとヤスさん、わたしの答えはどうでもいいのかさっさと自分ワールドに入り込み、どや顔でこう言い放った。

 

「まぁ、とりあえず…シャンパン入れようか!」

 

(…?!!!!はぃ?あなたがシャンパン???)

ヤスさんは一番安いシャンパンをオーダーし、もそもそと財布を取り出す。

 

(ん?前払い?)

 

ところが!ヤスさんは1万円札をこれでもかというくらい小さく折りたたみ…、なんとわたしの手に握らせてきたのである。

 

「な、なに?どうしたの?」

 

「しんこにお小遣い♥」

 

「え?いいですよ、いらないよ、お気持ちだけで…」

 

「なんで?いいよ、俺男だから!」

 

(?意味わからん、わたしの男って意味かしら?)

(この人にお金なんて貰ったら…LINEが鳴りやまないわ!)

 

するとヤスさん…、

 

「これで1日くらい店休めるでしょ?ね?」

 

(Σ(・ω・ノ)ノ!・・・・ひぇぇぇ・・・無理・・・)

(ってか、足りないわ!)

 

結局、わたしは1万円を受け取らず、ヤスさんの機嫌を損ねた。無言の中飲む甘ったるいシャンパンの味は今でも記憶に残っている。

 

 

だれでも現金を頂けるのは嬉しいはずです。くださる目的も有志ではないことを理解しています。でも「この金でお前を(時間を)買った」的なセリフを堂々と言うのはいかがでしょうか。

売っていませんから!

 

ちなみにこの話は、都内某所では有名な話なのです。わたしも後日知ったのですが、店内でも2人ほど、同じエリアでも数人、まったく同じ手口で口説かれているキャバ嬢がいたのです。

 

まさか自分が…そして全く恥ずかしい男…

 

もちろんその後、わたしは彼からのLINEをブロック。ジ・エンドです。

 

キャバクラをお見パブと勘違いしてはいけませんね。ましてや同じエリアでは…お控えくださいませ…

 

END

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です