指名替えのベテラン男|中田さま

彼は大いに威勢を誇示し店に入ってきた。

 

中田さまだ。

 

Aという重鎮のお姉さまから私に指名替えをし、わたしからBという別の女の子に指名替えした、あの中田さま。

 

飲む時はいつも数件ハシゴをし、行く店行く店で貢ぎ物を頂くらしく、本日も沢山の紙袋を黒服に持たせている…

実は指名替えの前日、わたしは中田さまにメールを送っていた。しかし返信は無し…

 

何か変だと思っていたところの指名替えだったので多少の合点はいったのだが…苛立つ事には変わりはない。

 

果たして本日は誰を指名するのか?

 

ちなみにBは休み。Aとわたしは出勤である。

 

…………

 

指名はされないだろうと思っていたが…

 

やはり多少の期待は持ってしまう。なぜなら彼の売上はやはり…欲しい。

 

当然ながら、彼自身には1㎜も未練も興味もない…

 

 

しかし…待てど暮らせど、スタッフからお呼びがかからない。当然か。

 

まさか今日はフリー?いやいや、彼に限ってそれは無いだろう。

 

わたしは卑しくもトイレに行くふりをして店内を見回した……

 

居た!!

 

なぬ?

 

なんと中田さまは、前の前の指名であるAさんを隣におき、楽しそうに宴に興じているではないか!

(狸じじい…散々わたしに文句を垂れていたクセにモトサヤかい!そしてわたしはそれ以下かいな!)

 

わたしは考えた。

 

このままでは指名は戻ってこない。

 

わたしはトイレで化粧をなおし、ソコに中田さまが居るのを知らないテイで中田さまの席の横を通る。

 

そして、あたかも今気づきました、というように…

 

「わぁ!中田さま!いらっしゃいませ〜」

 

品よく優雅に嫌味なく…彼へ声をかけたのだ。

 

「お元気ですか~?ゆっくりなさって行って下さいね♡」

 

ここはクドクド話しかけず、そして「例えわたしが本指名でなくとも、あなたが楽しんで下さる事が本望です」という雰囲気を出すことが大切だ。

 

中田さまは一瞬びっくりした顔をしたが、そこは指名替えのベテラン?か。

 

「おぉ、しんこか!元気か?、まぁ、座れよ!」

 

「ありがとうございます!後で着かせて頂きます〜♪♪」

(ちッ!狸が!場内なんていらないわ!)

 

 

当然、その後場内が入り、Aの壁越しに中田さまに着くことになるが、この日はこれ以上のアピールは禁物だ。

 

Aもわたしと中田さまが変な動きをしないが細心の注意を払っているだろう。

 

あくまでヘルプに徹しAを立て、中田さまを楽しませる事に砕身した。

 

 

そして翌日、中田さまにメールをした。

 

内容は昨日のお礼と体調を気遣うサラッとしたものだ。

 

ここで返信がきたらもうワンチャン…そう考えていたのだが、

 

残念ながら返信未だない…

 

もうダメなのだろうか…

TO BE CONTINUE…

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